北投温泉ってどんな温泉?
温泉名 | 北投温泉(ベイトウ・ウェンチュエン) |
エリア | 台北市北投区 |
泉質 | 白硫黄泉・青硫黄泉・鉄硫黄泉 |
アクセス | 台北からMRT+徒歩で約40分 |
台北市内中心部からMRTに乗ればわずか40分で温泉街に到達する北投温泉。観光で訪れる日本人にとって最も行きやすい場所にある温泉です。
実は最初「大都市からそんな近くだと大したことないのかな?」なんて思ってしまっていたのですが、大きな間違い。歴史的にも温泉のクオリティ的にも、そして温泉ホテル・旅館・公衆浴場などの施設面の充実度を考えても、台湾トップクラスの温泉地でした。
「台湾に行くたびに北投温泉に行く」
「台北旅行では市内でなく郊外の北投温泉に宿をとり温泉を楽しむ」
なんて人も多いようです。
MRTで台北駅から30分ちょい!駅を降りればすぐ温泉街
まずは台北のMRT路線図を見てみてください。
赤色の「淡水信義線」の北部にピンク色の一駅区間だけの路線があり、その終点に「新北投」駅があります。北投温泉はその駅から徒歩2分ほどのところから始まっています。
中心部に「台北車站」と書かれた駅があり、ここが台鉄・高鐵の台北駅やバスターミナルもあるターミナル駅です。新北投駅は、この台北車站から30分ちょっと。
淡水信義線は、終点の「淡水(夕陽で有名な海に面した観光地)」や「士林(巨大夜市がある)」「中正記念堂」「東門」「台北101」など、観光客が必ず訪れる有名観光地がたくさんある路線です。
なので、台北市内から日帰りで温泉に入りに行くこともできますし、淡水の帰りにちょっと寄ってみるのもいいでしょう。もしくは特に台北市内に泊まりたいホテルがあるのでなければ、北投温泉に宿をとってしまうというのもいい方法だと思います。
「台湾の温泉ってどんな感じなのだろう?」
まずは旅行ついでにちょっと体験してみたいという方にとって、アクセス抜群の北投温泉は最もオススメできる温泉地です。
白・青・鉄3種類の源泉があり湯量も豊富
北投温泉の大きな特徴のひとつは、ひとつの温泉地で3種類の泉質のお湯を楽しめるという点です。白硫黄泉、青硫黄泉、そして鉄硫黄泉です。台湾の温泉は無色無臭のお湯も多いのですが、ここは温泉街を歩いているだけで硫黄臭が漂ってきて温泉気分を上げてくれます。
ホテルの多くは白硫黄泉だそうで、実際私が台湾で購入したムック本で紹介されている高級ホテルもほとんどが「泉質:白硫黄」と書かれています。もちろん青硫黄泉を引いているホテルもあります。水都北投温泉会館は白硫黄と青硫黄の両方が楽しめます。
青硫黄の公衆浴場もいくつかあるので、「違いを体感してみたい」という方は事前に調べてどの温泉を回るか決めておくといいでしょう。
台湾温泉文化の発祥の地~1896年に台湾で最初の温泉旅館が誕生
北投温泉がドイツ人によって発見されたのは1894年、その後1896年に台湾で最初の温泉旅館が建てられます。台湾温泉史については観光局のサイトに載っています。
台湾の温泉は、1894年にドイツ人のQuelyにより初めて北投で発見されました。その後、台湾は日本に割譲され、日本の温泉文化が入り込んできました。1896年3月、日本大阪出身の平田源吾氏により、北投に台湾初の温泉旅館「天狗庵」が建てられました。これが北投温泉郷時代の始まりとなっただけでなく、台湾温泉文化の幕開けともなりました。日本統治時代に最も名が知れていた四大温泉と言えば、北投、陽明山、関子嶺、四重渓でした。しかし、台湾の温泉は、1945年以後次第に繁栄から衰退、没落へと転じていきます。これを受け、1999年に関連機関が立ち上がりで、近年では、台湾温泉の華やかな風貌が再現され、温泉ブームが再び湧き起こり今日に至っています。
そんな歴史もあり、北投親水露天公園内には「北投温泉博物館」もあります。
元々は公共浴場として1913年に建てられた洋館。Wikipediaによると、一階に大浴場があり二階は休憩エリアでレストラン・娯楽室が設置されていたそう。
●北投温泉博物館 - Wikipedia
●1913年に建てられた和洋折衷「北投温泉博物館」│台湾温泉ガイド
ステンドグラスも修復された大浴場の淵に立つと、今から100年前の人達がここでわいわい賑やかに入浴している風景が目に浮かびます。
和風旅館はじめ高級温泉リゾートホテルが多数
そして高級温泉リゾートホテルも多数あります。
なかでも「一度は泊まってみたい」という台湾人も多いという「日勝生加賀屋」。北投温泉の中でも最高級で和室の客室に陶器、檜木、大理石などさまざまなタイプの浴室。着物姿の仲居さんが入り口に並んで出迎え・お見送りを行っています。
もちろん宿泊料金もなかなかで、平日一部屋(二人)13,800元(約5万円)~、日帰り温泉(大浴場)でも1,500元と他のホテルと比べても桁違いの料金になっています。
他にも屋外のスパ施設が充実した「春天酒店」、MRT駅から近く部屋のお風呂に定評がある「水美温泉会館」、屋上に露天風呂があり二種類の泉質のお湯を体験できる「水都温泉会館」などあります。
●北投温泉「水都温泉会館」で露天風呂を日帰り利用│台湾温泉ガイド
公衆浴場を楽しむ
そうした高級温泉リゾートホテルの温泉を宿泊あるいは日帰りで利用するだけでなく、北投温泉では是非公衆浴場も。
もっとも入りやすいのは北投親水露天公園内にある露天風呂「千禧湯」でしょう。男女共用で水着着用ですが、露天風呂は温度別に4つあり、さらに水風呂もあります。ここは「青湯」こと青硫黄泉なので肌に刺激もあり、温泉からあがった後もしばらく身体がほてった感じになります。
もうひとつ有名な公衆浴場が「瀧乃湯」。
台湾最古クラスの公衆浴場で、強酸性の湯、しかもめちゃめちゃ熱いです。1923年に当時皇太子だった昭和天皇が巡行で北投温泉に来られた際に作られた建物だそうで、中はまさにタイムスリップした気分にひたれる昔ながらの公衆浴場。入るのにちょっと勇気いりますがぜひ覗いてみてください。
●強酸性で悲鳴でる熱さだけど二日連続で通った「瀧乃湯温泉」│台湾温泉ガイド
温泉の他にも歴史的な建物や源泉、自然散策など楽しめる
温泉に入る以外にも結構楽しめる場所です。MRT駅から少し歩くと北投親水露天公園の入り口があり、中を散策するとまず現れるのが2012年に「世界で最も美しい公立図書館ベスト25」にも選ばれた台北市立図書館北投分館。続いて「北投温泉博物館」、公衆浴場の「千禧湯」、「梅庭」が登場します。
さらに先に行くと、ホテルから排出された温泉も流れこむ渓流があり、源泉「地熱谷」も。
バスで高台に登ると「北投文物館」があります。
ここは日本統治時代に「桂山旅館」として建てられた場所で、第二次世界大戦の時には特攻隊員が任務前夜に恋人と過ごしたという話なども。当時のままの日本家屋が残っており、台湾の人達がガイドさんから畳や障子などについて解説を受けたりしています。
北投温泉の北側と東側は陽明山国家公園に含まれる山が広がっています。
ハイキングルートもいろいろあり、小さな温泉も点在しています。時間があればそのあたりをはしごしながら陽明山の温泉に向かうというプランもよさそげです。
記事公開日:2016/04/01