台湾の温泉って?
「温泉旅行」と言うと国内旅行をイメージする方が大半でしょう。でも温泉があるのはもちろん日本だけではありません。中でも特に私達日本人にとって魅力的な温泉が多数ある国といえばお隣の国・台湾。豪華スパリゾートから風情ある日式温泉までバリエーションも豊富!郷愁すら感じる昔ながらの温泉旅館に滞在すれば、海外にいることすら忘れてしまいます。
各地に源泉がある温泉天国・台湾
台湾は国土36,193 km²で、九州とほぼ同じ。
ところがその中に温泉地が100箇所以上もある「温泉天国」なのです。
それもそのはず、実は台湾は島国であると同時に、中央に標高3000m以上の高い山々が連なる山脈が横たわる山岳国家。最高峰は標高3,952mの玉山で、環太平洋火山帯に位置し火山もあります。
台湾の本島の形はよくサツマイモに例えられますが、温泉は一体どこにあるのか?というと、北端から南部に至るまで国内各地に点在しています。
北部には、台北市内中心部から40分ほどの北投温泉や海沿いの金山温泉。南端にある四重渓温泉は熱帯モンスーン気候に属し、冬でも20度前後と温かい・・・いや夏は非常に暑い場所です。
温泉地の大半は内陸の山岳地帯にありますが、海沿いにある温泉や、海中から湧き出す島の温泉もあります。
台湾の温泉の泉質
台湾の温泉の泉質については、台湾観光協会のサイトが参考になります。
北部の大屯山系の温泉は酸性硫黄泉、中央山脈一帯の温泉の多くはアルカリ性炭酸泉。さまざまな泉質の温泉浴を満喫できます。温泉地の多くは風光明媚な深山や渓谷にあり、大自然が織り成す景観にも心身ともに癒されます。
●台湾観光協会「泡湯(温泉)」
また交通部観光局が運営する観光情報サイトでも、各地の温泉を泉質ごとに分類したページがあり、特徴やメリットも紹介されています。
- 炭酸水素ナトリウム泉
- 白硫泉
- 緑色硫黄泉
- 含鉄泉
- 硫黄泉
- 泥漿温泉
- 硫酸ナトリウム
- 炭酸ナトリウム
- アルカリ性炭酸水素ナトリウム泉
- 海底温泉
このうち全国的に多いのは、無色無臭で「美しくなる温泉」として女性にも人気の高い炭酸水素ナトリウム泉です。台北近郊の北投温泉や陽明山温泉には泉質の異なる複数の源泉があり、一箇所の温泉施設で異なる泉質のお湯両方に浸かることができる場所もあります。
日本統治時代に開拓された台湾の温泉
もともと南国・台湾には温泉に入るという文化はありませんでした。それを台湾にもたらしたのは日本統治時代(1895年~1945年の50年間)に台湾に移り住んだ日本人です。
台湾の温泉の歴史について解説しているのは、交通部觀光局のサイトです。
台湾の温泉は、1894年にドイツ人のQuelyにより初めて北投で発見されました。その後、台湾は日本に割譲され、日本の温泉文化が入り込んできました。1896年3月、日本大阪出身の平田源吾氏により、北投に台湾初の温泉旅館「天狗庵」が建てられました。これが北投温泉郷時代の始まりとなっただけでなく、台湾温泉文化の幕開けともなりました。日本統治時代に最も名が知れていた四大温泉と言えば、北投、陽明山、関子嶺、四重渓でした。しかし、台湾の温泉は、1945年以後次第に繁栄から衰退、没落へと転じていきます。これを受け、1999年に関連機関が立ち上がりで、近年では、台湾温泉の華やかな風貌が再現され、温泉ブームが再び湧き起こり今日に至っています。
台湾の温泉の歴史に関しては、北投温泉の「北投温泉博物館」でも学ぶことができます。この博物館自体が1913年に建てられた歴史的な建造物で、公衆浴場として使われていた当時の大浴場を見ることもできます。
各地の温泉地の中には、日本統治時代に行政府が警察官の保養施設として作った温泉もいくつかあります。戦前の建物が修復を施されながら今も現役で残っている場所もあり、そのひとつが上記の写真「紅葉温泉旅舎」です。どこか古い小学校校舎のようでもありますよね。
新しい大型ホテルもいいですが、歴史を背負った古い温泉旅館に泊まってみるのもまた貴重な経験になることでしょう。
記事公開日:2014/12/01